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6月の

折り込みに小話


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6月下旬。
今年の天気もいつものようにおかしい日々が続く。もはやそれが当たり前のように。
今年は空梅雨で水不足が気になる。なんだかんだで自然には勝てないのだから。そんな事を考えていたあたしは、夜半過ぎから雨が降っていたのを知らずにいた。


カラーン
カラーン

どこからともなく鐘の音が響き渡る。澄んだ音は頭を打つようだ。
白い壁に囲まれた教会で、気付けばあたしは白いウエディングドレスを着ている。
否、正確にはウエディングドレスを着ているあたしを、あたしは見ていた。分かりやすく、夢なのだと思った。
想像力が乏しいのか見た目年齢は今のままなので、まるでままごとのよう。似合わないなと思い、少しだけ笑った。

ふと、視線を落として漸く違和感に気が付く。すうっと血の気が引いていくのが分かった。
目の前のあたしには左腕が、指輪を嵌める手がないのだ。
眩暈がしそうだった。つらくて、かなしくて。それでも目の前のあたしは、ぐしゃぐしゃの顔で必死に笑みを作ろうとしていた。
ひどい顔だ。新郎に泣き顔をみせまいとしてるのが、余計に痛々しい。

ただ、隣に立っているはずの新郎の顔は見えなかった。



「……っ!」
目を覚ますとそこは真っ白の壁とカーテンに囲まれていた。自分の居る場所が分からず、数度瞬く。
そうだ、ここは病室だ。
先の宿敵との戦いで重傷を負い、入院を余儀なくされて居た事をワンテンポ遅れて理解し、大きく息を吐いた。
頭が痛い。それが怪我のせいなのか、はたまた夢のせいなのか、判断はつかない。

雨が降っていた。
時計の針は午前4時を回ったところで、夏至に近い今時分は、晴れているのならば太陽が空を明るくしていただろう。生憎の空はどんよりと影を落としていた。
もう一度寝ようかと思ったが、雨の音が気になって寝られやしない。
ため息ひとつ。未だ軋む体をベッドから起こした。精神力でなんとかなるものだと笑う。
「…ほら、大丈夫なのよ。」


早一日目にして数度目の脱走も、あえなく未遂に終わるのだけれど。












































(随分と前にやった診断メーカーで、「左腕のひじから先を失い、もう結婚指輪できなくてつらいんだけど無理に笑って見せるななつください!」という結果が出て、これまんまななつだわー!と思ったので6月に。重傷が治るまで、暫しのお休みです。)

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