山の上におおきな樹が一本

夢に兄さんが出てきた。
顔を見て、おもわず泣いてしまった。
「どうして傍に居てくれないの！大変なのに」
「ごめん、一緒には居られないんだ」
悲しそうに言う兄さんに近付いて、泣いた。
兄さんは、触れそうで触れない距離で申し訳なさそうにしていた。

そこで目が覚めて、何故兄さんは傍に居てくれないんだ、とおもって気付く。
そうだ、兄さんはもうこの世に居ないじゃないか、と。
途端にさみしくなって、目の奥が熱くなった。
涙は出なかったけれど。


亡くなった人が夢に出てくるのは、その人が私を心配して出て来るのだと聞いたことがある。
心当たりは……ああ、あるわ。
心配掛けちゃってたのね。
不甲斐なくてごめんね。
あたし挫けないから。
心配掛けないようにするから。

それでも、もしかしたら見守ってくれてるのかなとおもうだけで嬉しい。
やる気と、勇気がもらえる。
ありがとう。
頑張るわ。